『FACTFULNESS』って結局どんな本? 2019年を象徴する1冊を解説。

ここまで多くの人に読まれた理由。

記事冒頭でも書いたように、FACTFULNESS』(ファクトフルネス)は発売と同時にベストセラーへまっしぐらであった。

日本語版がベストセラーとなった、大きな2つの要因を挙げる。

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著者の「思い」とそれを忠実に表現した「翻訳者」の存在

・書籍を高く評価した「著名人」の存在

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著者の「思い」とそれを忠実に表現した「翻訳者」の存在

著者のハンス氏とその息子夫婦は、前述の通り、「データを基に世界を正しく見る習慣」を、全世界の人に届けるという強い意志を元にこの一冊を書き上げた。

 

ここで少し「謝辞」についても触れたい。「世界を本当に知ることができたのは、誰かと一緒に過ごしたり、話し合ったりした経験からだ。(『FACTFULNESS』p330「謝辞」より引用)とした上で、数えきれないほどの人物・団体を列挙し、感謝を述べられている。多くの書籍に書かれる謝辞ですら、この本は特徴的だ。

また、「脚注」についてもそうだ。「ファクトフルネス」であることへの徹底的なこだわりを表すかのように、本書の間違いに関しては指摘を簡単にしてもらえるように準備をしている。彼が存命の時に彼の言葉・姿勢によって「世界の見方」を学んだ者たちが、確実に彼の意志を継承していることがひしひしと感じられる。

人類の未来を真に案じ、それを命絶えるまで貫き通したその姿は、『ソクラテスの弁明』でプラトンによって後世にまで語られるソクラテスの姿に通じるものがあるのかもしれない。

 

また、翻訳者も、今は亡き著者ハンス・ロスリングの意志を継承している。

共訳者の1人である上杉周作氏は自身のブログ(「『ファクトフルネス』批判と知的誠実さ: 7万字の脚注が、たくさん読まれることはないけれど」)で、自分の「ファクトフルネス」に対する考えを述べている。その中でも印象的なのが「紙媒体の限界」について言及した上で、本書に対する批判に対しての考えを述べている。

本書の総論に対する批判でよく見かけるのは、「この本は、あえて『良くなっている事実』ばかり載せている」というものだ。

(中略)
世の中はネガティブな発信で溢れている。だから、たとえば「アメリカでは貧富の格差が拡大している」というような、アメリカ人の大半が知っているネガティブな事実にページ数を割くのは無駄だ。

(中略)
理想的なのは、ポジティブな事実を書く際に、後ろにあるネガティブな面も表記することだ。紙媒体の制限があるなかで、『ファクトフルネス』がそれを完璧にできていないことを、わたしは別に構わないと思うが、「けしからん」と評するのも間違ってはいない。

(上杉周作氏ブログより引用)

「良い」とされていることばかりを読んで、それに違和感を覚える読者の行動は「ファクトフルネス」であるし、それに対して理解を示しその上で紙媒体との限界に照らし合わせて上でコメントをする上杉周作氏も「ファクトフルネス」である。

つまり、この本に触れた多くの人が、多くの人が「正しい世界の見方」すなわち「ファクトフルネスに物事を考えること」を達成することができているのだ。著者にとってこれほど嬉しい頃はないだろうと推察する。

 

書籍を高く評価した「著名人」の存在

FACTFULNESSは多くの著名人によってオススメされている。特に、著者の思いが届いたことによって起きていることが今回着目すべき点だ。

(日経BP社 プレスリリース 2019/2/4 14:23)

 

上の2つの言葉はそれぞれ、ビルゲイツ氏が個人の考えを投稿する「GatesNotes」で、バラクオバマ前大統領がFacebook上で投稿した内容の和訳である。いわば、ただのつぶやきの一種の延長だ。それぞれ、読書家と呼ばれる彼らがオススメするとあってはたちまち反響があってしかるべきであろう。

ビルゲイツ氏の投稿の投稿はこちら
バラクオバマ氏の投稿はこちら

 

また、日本では、サッカー日本代表選手であり、実業家としての顔を持つ本田圭佑氏のTwitterでの呟きが反響を呼んだ。

 

その他にも多く「ファクトフルネス」の考え方が何であるか、「ファクトフルネス」に対する反論、本書を読んでどう自分の考えが変わったか等、様々な反応があった。

社会現象とも言えるこの反響の大きさも、「ファクトフルネス」の考え方によるものだと思い、「多く読まれた理由」についても今回は触れた。

 

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