読書は時空間の移動ができるもの
僕は読書を移動せずに時空間の移動ができるものだと思っています。人生とは様々な経験をなるべく多くした方がいいと思っていますが、「経験をたくさんしています!」と、渋谷のベンチャー企業の人が言っていても、そのほとんどを渋谷のオフィスで過ごし、飲みにいくとしても、渋谷で同じようなベンチャーとかIT企業の人がメインです。同じような人としか話さないと、アイデアはB’×Bの組み合わせになってしまう。本来アイディアはA×Bから生まれるものであり、AとBは違えば違うほど面白くなるじゃないですか。
そう考えると、読書って紀元前の人でも中世の考え方でもヨーロッパでもアフリカでもわかるものですよね。時空間を超えられる価値観の違いを経験できるのは読書しかないんですよね。僕はそれこそ価値があると思っていて、プロデューサーをしていると今の流行り物に詳しくないといけないと思われがちです。でも、そんな人はどこにでもいるわけなので、むしろシェイクスピアに詳しいとか孫子に詳しいとか、そういうことを現代の情報と組み合わせる方が、圧倒的な価値を生むことになる。だから僕は限られた時間しかないとしたら、古典だけしか読みたくないですね。
自分が社会にコミットしなければ社会もあなたにコミットしない
私の著書『人生が変わるすごい「地理」』では、環境と自分とはインタラクティブであるということを語っています。世界のインタラクティブ性を多くの人が忘れている気がします。インタラクティブはインター+アクティブですよね。両側がアクティブだから、その間がインタラクティブになる。ある有名人の著書を吸収しようとか、それは一方向なんですよね。それはビジネスにおけるプレゼンも同様で、聞く人もアクティブにしなくてはならない。そうしないと、言っている人の話も盛り上がらない。相手に投げて、相手が返してくるから、こっちも盛り上がる。
そういったインタラクティブ性は、あらゆるものごとにあると思います。自分が盛り上がると環境も盛り上がってくる。双方向のアクションによって、変わっていくことを全人類が気づかないと地球がもたないのではないかと僕は思います。あなたがゴミを捨てた事と、グリーンランドの氷が溶けそうなのは本当は繋がってるということ。
人間は川に似ていると思います。とりあえず上流からの情報を自分で受け止めて下流に受け流すことが重要だと思っています。まずはなんでもいいからやってみる!と。そしてやった上で自分に合わなきゃ捨てればいい。自分が社会にコミットしなければ社会もあなたにコミットしないということが、僕がこの本で一番伝えたいことですね。
※インタビューをもとに作成
インタビュー:青木郷師、文章:石井弦
BookList
『仕事道楽』 鈴木敏夫/著 岩波書店
『ない仕事の作り方』 みうらじゅん/著 文藝春秋
『文学部唯野教授』 筒井康隆/著 岩波書店
『サルでも描けるマンガ教室』 相原コージ、竹熊健太郎/著 小学館
『人生が変わるすごい「地理」』 角田陽一郎/著 KADOKAWA
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