JapanTaxi 社長 川鍋一朗が語る ドラッガーから学んだ経営と革新的な挑戦の秘話

答えは会社の中にある

ーーJapanTaxiのアプリの中で降りる時に払わなくてもいいウォレット機能など革新的なアイデアが多いですが、そのアイデアの元になっているものはありますか?

川鍋:本も含めて、何かのコンテンツからビジネスアイデアをもらい受けたことはありません。流行り廃りのある、ものを参考にして会社としての方針を決めることはできないのです。

毎日こうして現場に出ていると、答えはいつも会社の中にあります。会社はすべてが顧客体験の積み重ねなんです。1分1秒が参考になる。だから、現場での営業や顧客の行動、乗務員からの声がとても大事です。自著の『タクシー王子、東京を往く』でまとめた、実際にドライバーを経験した時に実感しましたね。

例えば、「陣痛タクシー」は現場から生まれたサービスの一つです。ある日、電話対応の現場を見ているときに、ベテランの電話対応の方が少し緊張した面持ちで対応していたので、「どうしたの?」と聞くと、「陣痛がきたお客様の対応でした」と。

「そんなことあるんだ!」とその時は思ったのですが、よくよく聞くと「毎日ありますよ」と。ズッコケましたね。ドライバーにも聞いてみたところ、そういう時はいつもドキドキするらしい。このことをきっかけに、すでにあったVIPに優先的に配車する仕組みを活かして、妊婦さんを最優先に対応する「陣痛タクシー」を作ったんです。

その他にもビジネスアイデアが不足したことはありません。100個アイデアがあるうちの2,3個しか実現できていないくらいです。これも現場から答えを探しているからこそなのかもしれないですね

テクノロジーによって、ニーズが掘り出される瞬間がある

ーービジネスアイデアを具現化するときに意識されていることはありますか?

川鍋:よくあるのは、「これあったら絶対便利じゃん」ってものから作り出していくことですね。例えば現在JapanTaxiアプリにある、降りるときに決済する手間を省けるウォレットも昔から「あったらいいな」と思っていたものです。

それが技術の進歩によって、どんどん実現できるようになってくる。テクノロジーによって段々とニーズが掘り出されてくるような感覚です。ニーズを掘り出すためのコストがテクノロジーの進化によって、掘り出したあとのバリューが上回るのです。

テクノロジーは短距離走。つまり短期間でのスピード勝負です。置いていかれると追いつけなくなってしまうし、しんどい。だから、ドットコムバブルの時には、ドメインをとってブラウザ上で配車サービスを作ることを目指し、アプリという概念が出来てからはすぐに開発に取り組んできました。

「変化はコントロールできない。できるのはただ先頭に立つことのみ。」とドラッガーは語っていますが、そんなに簡単に挑戦できるものでもない。でもこういう葛藤を経て、挑戦し続けなければならないと、自分をいつも奮い立たせています。

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