慶應義塾常任理事 國領二郎が語る “ITがもたらしたビジネスモデルの変容” と愛読の4冊。

収益モデルをどのように作るかが重要

新しいビジネスモデル考える際には、収益モデルをどう作るかが大事だと言う。

「SNSのサービスなどでは、まずは利用者を集めてからマネタイズすることも増えましたが、それは前の時代に比べて初期コストが落ちたからに過ぎません。なんにせよ、最終的にはどこに収益モデルをつくるかが重要になってきます。」

「最近だと、猛威をふるっているのがターゲットマーケティングです。これがあまりにパワフル過ぎます。データをたくさん蓄積した企業がサプライヤーにそのデータを売るようになった辺りから、少しおかしくなったのかなと思います。」

こう言って取り出したのが『The Age of Surveillance Capitalism』(監視資本主義の時代)だ。

「著者ショシャナ・ズボフさんは、ハーバードビジネススクールで教授を務めていて、ビジネスを教える側の立場の方です。ですが、そんな彼女がターゲットマーケティングやSNS依存症、フェイクニュースなどの人間に与える弊害について明らかにしたもので、切り口が斬新で面白いです。」

國領氏は、自著ではいつも「ビジネスで最も貴重な資源は“信頼”だ」とメッセージを込めている。中でも、この視点でトップ企業8社の経営戦略を取り上げた『デジタル時代の経営戦略』はぜひ手にとってみてほしい。

テクノロジーは消費者のためであるべきだ

「僕はこれまで、経営学の観点からだけではなく、ITを社会的にどうガバナンスするのかについても考えてきました。ですが、ターゲットマーケティングなどの強力なビジネスモデルが生まれて、消費者を守るガバナンスはとても難しくなりました。

ローレンス・レッシグの『CODE 2.0』は、テクノロジーのガバナンスを考える上でとても有益だったと振り返る。

社会構造からどうテクノロジーにアプローチしていくかを考えるにあたって有益でした。『CODE 1.0』の頃から知っていますが、彼が指摘した人を導くときの構造の部分は、誰が知っても損のない教養だと思います。」

そして、インタビューの最後に國領氏はこのように残した。

テクノロジーは常に、人々のためであり、消費者のためであるべきだと考えています。しかし、現在のGAFAをはじめとしたデータ蓄積をした企業がビジネスをするのを止めることはできません。

悔しいのであれば、これよりも儲かるビジネスモデルを生み出すしかないと思います。不可能に思えるかもしれませんが、次の技術が現れたときにそのチャンスはめぐってくると思います。

1980年代、ウォルマートなどがIT技術の発展によって、生産・販売のパラダイムシフトを起こした。当時、ハーバード大学の博士課程に在籍していた國領二郎氏は大きな可能性を感じた。消費者・生産者の両方を助けるはずのテクノロジーが、どこか消費者に不利に働いてしまっていることに、懐疑的なのかもしれない

Book List

Technics and Civilization』 Lewis Mumford (著), Langdon Winner (著) University of Chicago Press

The Age of Access』 Jeremy Rifkin (著) TarcherPerigee

The Age of Surveillance Capitalism』 Shoshana Zuboff (著) Profile Books Ltd

CODE VERSION2.0』 ローレンス・レッシグ (著) 翔泳社

トップ企業が明かす デジタル時代の経営戦略 「絶対的価値」を生み出す エグゼクティブCIOの挑戦』 國領二郎 (著), 三谷慶一郎 (著), 一般社団法人 価値創造フォーラム21 (著) 日経BP

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