ランサーズ取締役 曽根秀晶が語る 幸福のためのキャリア論 “学びとは意思決定のOSづくり”

自己決定が最大限にできるフィールドとしてのフリーランス

ーー「自分らしく選択できるか」は、曽根さんがブログなどで発信されている「一億総デザイン社会」に通ずるものがありますね。

曽根:そうですね。「一億総デザイン社会」とは、日本中すべての人が自分らしく行動できる社会です。ここでの、キーワードは「自己決定」だと私は考えています。

最近読んだ『サピエンス全史』では、人類の歴史を3つの革命から論理的に書かれていたのですが、私は最後に書かれていた「人類は何を望みたいのか」という問いかけが一番印象に残っています。

これまで人間が作り出してきた様々な仕組みや概念の中で、私たちは結局どう生きていきたいのか。不自由なく生きていけるようになった現代では、“well-being(幸福)”に対する問いの重要性が高まってきているのです。

この幸福感を得るためには、「自己決定」ができるようになるのが一番の近道です。不確実性の高い中で、自らの判断で、どれだけ悔いのない選択ができるか。これが幸福感のためには必要です。

視点を働き方に戻してみると、“フリーランス的”な働き方は、この「自己決定」が最大限にできるフィールドだと思います。

市場と直接向き合うことで、自分の市場価値がわかる。そして、自分のやりたいことを見つけて、一生懸命働く。これができるフィールドです。

だからこそ、ランサーズはフリーランスを支援するサービスで「個のエンパワーメント」をしています。

 

ーーここまでは会社でのお話をお聞きしてきましたが、ここからは曽根さん自身のお話をお聞かせください。

 

アート・サイエンス・クラフト、すべてを経験してきた

ーーご自身のキャリア・働き方について、どのように捉えられていますか?

曽根「アート・サイエンス・クラフト」フレームワークが気に入っていて、自分自身のキャリアを考えるときに、ひとつの羅針盤として意識しています(写真参照)

その中でも、私が最初に触れたのは「アート」でした。

というのも、私は建築学科で学んでいたからなのですが、「建築」と聞くとデザインなのでは?と思われますよね。私も最初はそう考えていたのですが、その考えが一変したのが安藤忠雄さんの建築である「住吉の長屋」です。

デザインは、一般的にはユーザー視点で最適なものを提供するためにあります。そのため、住居の場合は、住みやすいようにするのが基本です。

でも、「住吉の長屋」では、真ん中にあえて中庭をつくったのです。雨の日には通るたびに濡れてしまうし、暑い日には気温が上がります。「住みやすさ」を追求しているわけではありません。

そこには、「自然と調和しながら生きる情緒を大事にする」というコンセプトがあったのです。ここにアートとしての真髄を感じました。

のちに『世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか』を読んで言語化できたのですが、アートの本質は「自分の物語をビジョナリーに表現すること」だったのです。自己表現をいかにして行なうかがアート。その時に直感的に理解しました。

また、その学生時代に読んだ『デザインのデザイン』も良書でオススメできます。「アートとサイエンスの間としてのデザイン」を自分の中で定義することができました。

設計図を書いたことがないと少し想像しづらいかもしれませんが、すべての設計は1本の線を引くところから始まります。その上に、物語を吹きこんでいく。そのプロセスで良いものが生まれるのです。

体系化された理論、すなわちサイエンスだけに頼っていると、プロジェクトはどんどん陳腐なものになっていってしまう。「アート」という自己表現から、理論とすり合わせることで喜んでもらえるもの創り出す。顧客体験をデザインする上でも、こういうプロセスが必要なのだと、学生時代から感覚的にわかっていたのかもしれないです。

 

次のページでは、アート・クラフトについてもお聞きします)

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