「エンジェル労働家」須田仁之がすすめる映画と漫画と本。“粘って粘って、困難を打ち破る”

業界のトップを走る「プロフェッショナル」が薦める本とは?読書をもっと面白くする実名ソーシャルリーディングアプリReadHubが、独自インタビューをお届けするReadHubTIMES。激動のYahoo!BBの立ち上げに関わり、その体験談をベースに書き上げた小説『恋愛依存症のボクが社畜になって見つけた人生の泳ぎ方』著者の須田仁之氏。須田氏が自身に大きな影響を与えた映画・漫画・本をご紹介する。

1973年茨城県牛久市生まれ。早稲田大学商学部卒。1996年にイマジニアに入社し、社長秘書を務める。ソフトバンクグループで衛星放送事業(現スカパー、ブロードメディア)、Yahoo!BBの立ち上げに携わった後、友人が経営するアエリア社にジョインし、CFOに就任。

2004年に同社が東証JASDAQ市場に上場を果たし、ゲーム会社、IT企業、金融企業のM&A・PMIなどに携わる。

現在は複数のベンチャー企業の役員・アドバイザーを務め、エンジェル投資家ならぬ「エンジェル労働家」を名乗っている。

前編では、孫正義・野村克也両氏の対強者戦略を中心にお聞きしたので、読書についてお話を聞きます。

 

読書は大人になってから

幼い頃から読書が嫌いで、ほとんど本を読んできませんでした。なので「オススメの本は?」「若い頃にタメになった本は?」と訊かれると答えに窮してしまいます。

小中学生時代、文章は苦手でしたが漫画は普通に読んでましたね。コロコロコミックからの週刊少年ジャンプが王道パターンで、キン肉マン、北斗の拳、キャプテン翼の時代でした。が、「じゃあ、学生時代に影響を受けた漫画は?」と訊かれてジャンプ系漫画を回答するのはアホっぽくてちょっと避けたいですね(笑)。

思い返すと子供時代に読んだ「大人向けの漫画」は今の自分に影響を及ぼしている気がします。植田まさしさんのサラリーマンを揶揄する4コマ漫画『かりあげくん』、片山まさゆきさんの麻雀漫画『ぎゅわんぶらあ自己中心派』などですね。小学生で大人の世界をコメディチックに垣間見ることが出来ました。

 

中学時代に読んだ相原コージさんの『コージ苑』というギャグ4コマ漫画も良かったですね。文字通り「広辞苑」をパロった辞書形式の漫画なんですが、教育上よろしくない下品な表現が満載でして(笑)。宗教、哲学、文学、歴史、時事に属する難解な専門用語や人物について4コマギャグ漫画で表現されてるんですよ、スゴくないですか?

漫画しか読んでなかった中学時代から時がたち、怒涛のような20代社畜時代を駆け抜けて、大人(35歳くらい)になると「そろそろ本当に難解なもの(哲学等)に対峙しなきゃ」と小難しい本を読んだりする。すると「あ、このレゾンデートルとかゲーテとかってコージ苑にあった!」なんて地味に思い出すんですよ。子供脳に4コマ漫画で「笑える形に翻訳された難解なもの」を入れておいたのが時空を超えて脳から蘇ってくる(笑)。

コージ苑』は今でも読み返したいと思える名作ですね。人間の「業」をネタにしたものも多く、「一見ふざけているように見えるけど、実は難解なものや物事の本質を読み解こうとする」スタイルは自分の生き方にも通じているような気がします。

 

本は腹落ち=共感

社会人になってから、何となくビジネス書は一通り読んだ気はしますね。年齢を重ねると「同じようなことが書いてあるだけ」と感じるので、今はフラッと本屋で立ち読みして済ます程度です。

ビジネス書や自己啓発系だと、自分が腹落ちする「定義」が書かれている本はいいですよね。ドラッカーの「経営は『顧客の創造』である」とか。平野啓一郎さんの『私とは何か「個人」から「分人」へ』も「分人」という言葉の定義が腹落ちしました。ネットとリアルの2面社会を生きる僕らが「キャラを複数持つ必要性」に腹落ちさせるものがありましたね。

 

小説や物語なんかも大抵「主人公の言動に腹落ち(共感)するか」が自分の作品に対する評価基準になりますよね。一昨年、とある投稿サイトに自分の体験談を書いたら優秀賞をとってしまい、書籍化する方向に話が進みました。まともな文章や物語なんて全く書いたことなかったので、急遽「ちゃんと文章を書くために小説(物語)をたくさん読む」というタスクが発生しました。

友人からおススメの小説を聞いて20冊ほど読みました。ビジネス書と違って小説だと皆のオススメって個人の嗜好で全然違うんですよね。食べ物みたいに好き嫌いがバラバラ。乱読した結果、僕が好きなのはどうやら村上春樹さんと夏目漱石さんであることがこの年齢(40代)になって判明しました(笑)。

 

村上春樹さんの『1Q84』。空間的にも時間的にも離れ離れな男女。それぞれに物語が並行して進み、決して交わることのない「線」が、見えない波に揺られながら、すれ違いながら、偶然を呼び寄せながら、最終的には一つの「点」に集約していく。

夏目漱石の『こころ』。全体的に静かなトーンの物語。友の愛、男女の愛、子弟の愛。思い悩む男性の暗い心理描写も多い。主な登場人物は、私・先生・先生の妻・Kの4人なのだけど、1人が「とある事象に大きく悲嘆」し自殺してしまう。時間を経て、それに「連鎖」してもう1人も深く思い悩み自ら生を絶ってしまう。

いずれの作品も「どこに共感したのか?」というのが明確に言語化できないんですけど、その「うまく言語化できない」ってのがまたいいんですよね。人生や現実社会も言語化できないものだらけなので。各々が自分の意思で違う物語を生きてるんだけど、何故か一つの点に集まっていく瞬間が来るような事象は、仕事や人生でもあるあるだなって共感したのかもしれません。また、人と人の繋がりが目に見えない「波」を作っていくさまや、人は目に見えない「業」を抱えているようなさまにも、何故か共感しましたね。

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