”歴史を学び、革命を先導しろ”『鈴木寛』が語る必読書10冊 -後編-

歴史を学び、革命を先導しろ

第一次世界大戦時のサラエボ事件を知っていますか。歴史の授業では、オーストリアの皇太子が暗殺された事件だと習うかもしれませんが、実は運転手が道を間違えていなければ殺されていなかった。つまり、大きな歴史を作ったのは偉大な政治家かもしれないけど、微力な1人の行動が歴史を変えたってことです。このプロセスは非常に興味深いです。

先人達には、多くの「板挟み」、「想定外」、「修羅場」を乗り越えた人がいます。同じような状況で、孫文はどう判断したのか、ガンディーはどう判断したのか、そのプロセスを知っておくことは、自分が決断するときの基準となります。歴史というのは、自身の中である程度パターン化できると思います。

また、歴史をよく知れば革命に先んじることができます。だから、技術の歴史や科学の歴史を好きな人が少ないのは非常にもったいないと僕は思いますね。技術自体の詳細までは知らないにしても、技術の歴史を学んでおくことで、次の時代を予測し、新しい時代の先頭に立てるようになれるわけです。当時、僕はITが来るのが見えていた。だから、Yahoo! の川邊さんは僕のゼミ生だし、スマートニュースの鈴木さんも10代から知っているし、楽天の三木谷さんも当初から知っていた。ただ他の人より先に行動していることが、価値になると思います。今、僕がライフサイエンスのイノベーションに影響を与えられているのも、2000年代になってすぐに舵を切れたからだと思っています。

歴史から革命を先取りするという視点で、『文明ネットワークの世界史』はオススメの本です。ビジネスマンは分野横断的な視点を持てていない傾向にあると思います。だから、次の時代がどうなるかを意識して欲しいです。自動運転とか、シェアリングとか、5Gとか、変化しつつあるものによって、都市の構造は変わってくると思います。歴史の変化に目を向けることが、これからの時代を考察する上で非常に重要です。

また、歴史の変化の中でも、日本の近代以降の技術の変化は目覚ましいです。その早い変化の過程の振り返りをできるのが、『シリーズ日本の近代 – 新技術の社会誌』です。例えば、洗濯機は、欧米諸国より日本の方が早く普及しました。それは日本の主婦に家事以外の時間を生み出した革新的な技術だったからです。この本では、洗濯機以外にも、ラジオや活版印刷、時計など生活に大きなインパクトを与えた技術の歴史が、市民の生活レベルで記述されているので非常に面白いです。当時の急速な歴史の変化は、現代に通じるものがあります。『文明ネットワークの世界史』は、巨視的に見ていて、シリーズ日本の近代 – 新技術の社会誌』は市民の生活レベルで見ています。どちらも技術の変化を見ていますが視点が大きく違うので、合わせて読むことを薦めます。

歴史は繰り返す、とよく言われます。しかし僕は、ただ繰り返すだけではなく、スパイラルアップしていると思います。つまり、技術が進化・進歩していくという構造になっている。だから、新たに出てくる技術とそれの根本となっている新たに現れた科学についてはキャッチアップしていく必要があります。そのため、歴史書・哲学書・テクノロジーの解説書の3つは常に追っておくべきだと思います。歴史を学んで、革命を先導してください。

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