“仕組み作りが起業家の仕事” 『寺内正樹』が選ぶ経営者のための6冊 -前編-

人事評価制度を作らない理由はない

労務管理の延長線上で存在する問題の一つが給与の問題です。多くの会社で、社員さんが少ないうちは社長が一人ひとりの給与額を自分の感覚で決めています。しかし、社員さんの人数が増えてくると、だんだんとそうもいかなくなってきます。

給与は生活に直接的に関わってくる部分なので、非常にシビアな問題です。納得できない人が生まれると、そこに会社と社員、あるいは、社員間の間で軋轢が生まれ、会社として良くない影響を持つことになります。

そこで解決策として提案しているのが「人事評価制度」です。社長の中では理由があって給与を決めていたとしても、それが社員さんにうまく伝わっていないから、不満や不公平感が生まれてくるのです。そのため、「このように行動することを会社は評価していて、その結果、このような給料になります」ということを見える化することこそが人事評価制度を作ることだと言えます。

 

大企業で多く使われるようなコンサルティングファームに外注して作ってもらうような人事評価制度は中小企業にとっては複雑すぎるため、せっかくの人事評価制度も使わなくなってしまったという話もよく聞きます。自分たちのサイズに合った自分たちだけの評価制度を作り上げていくことこそが大切です。制度は作っただけでは意味がなく、最大限に運用、活用しないことには意味がありません。

中小企業の状況に合わせてシンプルな制度にすれば、運用も簡単になり、整備するためのコストも抑えられます。年度ごとのテーマに合わせて評価する重点項目を変えていけば、会社の成長を大きく後押しする仕組みとなります。どのような会社にしていきたいかというゴール地点から、逆算的に落としこんでいく。繰り返しになりますが、自分たちに合った自分たちだけの人事評価制度を作ることが重要です。

 

理念を戦略に組み込む

ゴール地点から落としこむと何気なく言いましたが、このゴール地点を明確にできていない経営者も多くいるように感じます。理念が明確でなくても、うまくいっている会社もあるため、理念はそこまで重要でないという考え方もあるでしょう。

確かに、とって付けたような借り物の理念を掲げても何の意味もありませんが、自分の会社が何のために存在し、世の中にどのような価値を届け、何をなしていくのかが明確になっている会社のエネルギーは、測り知れません。

この理念の重要性を戦略に組み込む考え方は『孫の二乗の法則』で学ぶのがオススメです。有名な中国の『孫子の兵法』の考え方に、孫正義さんの経営の現場経験からのオリジナルの考え方を掛け合わせた法則になっています。

孫正義さんのプレゼンテーションを見てもらえればわかりますが、戦略を語り共有する上で、理念というものを非常に重視しています。この二乗の法則(兵法)について孫正義さん本人が話している動画がYoutubeにも挙がっているので、ご興味のある方はご覧になっていただくとよろしいかと思います。

 

https://www.youtube.com/watch?v=6FKaSDibSaw

 

その原形となっている『孫子の兵法』も「戦わずして勝つ」のような、よく知られたフレーズを始めとして戦略などについて抽象的ながらも本質的な部分をまとめた歴史的な名著です。歴史上の偉人も数多く愛読書にしている本ですし、解説本も多く出ていますので、読んで損のない本だと思います。

 

この2つの本に共通していることは、これだけを見てもあまり意味がないということです。

自分の事業に当てはめて、これらの項目を考えた時に、それらのポイントが抑えられているのかを考えてこそ価値があります。その意味では、自分たちの戦略を考える上でのチェックリストのように利用していくイメージです。

為すべきことを為すという志がないところからは、大きなことは為しえないという成功哲学には、私も勇気とやる気をもらっています。

 

※インタビューをもとに作成
インタビュー:青木郷師、文章:高井涼史

Book List

はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術』 マイケル・E. ガーバー (著) 世界文化社

[新版]孫の二乗の法則』 板垣 英憲 (著) PHP研究所

新訂 孫子』 金谷 治 (翻訳) 岩波書店

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