「読書での学びは“分からない”から」 面白法人カヤック代表取締役CEO 柳澤大輔が語る読書術。

読書で時代の潮流を掴む

究極的には、本に書かれていることは全て過去のことです。そのため、何冊も読むことによって、普遍的なことを学べます。

その一方で、ビジネス書は時代の潮流を表すものとしての価値があります。ビジネス書大賞の審査員を2018年、2019年と務めさせていただいているのですが、たくさんのビジネス書を読むと、その時代のトレンドを感じることができます。

 

2019年に大賞を受賞した『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』はその象徴的なものです。AIに社会的な関心が集まっているという潮流に乗っていて、かつオリジナリティを持った実体験などを持った本です。ただ世の中にある断片的な情報を集めただけではなく、著者の経験も含めているため説得力を持っており、良い本だと思います。

テレビなどで見られるニュースほど細かい事柄を知ることはもちろんできないですが、本から1年スパンくらいの潮流を見るのはオススメです。

 

読書での“分からない”が価値観を変える

読書で得られることをお話ししてきましたが、何よりも大きいのは「考え方が変わる」ことです。

映画やテレビとは違って、本には文字情報だけしかないので自分の頭の中で整理する必要がありますよね。それが自分の思考に大きく影響が与えられる理由だと思っているのですが、これが誰しもに当てはまるかはわかりませんね(笑)。

 

私が本を読む時に最も大事にしているのは “分からない”に注目することです。よく書評などで、「ここに共感した!」みたいなものがありますが、これでは本から得られたものは何かと聞かれると何とも言えません。

でも、 “分からない”に注目しておけば、それが分かった瞬間には間違いなく変化できていることがわかる上、 “分からない”が次に自分が考えるべきことだと認識できます。これはぜひ実践してみてほしいです。

 

「面白がる人」であるために

面白い人の話は面白い。

私はよく、特殊な面白さをもった人の書いた本を読みます。経営者として、自分が好きな経営だなと思うような会社の社長の物語は、その人の頭の中を覗いているような気分になって、価値観を見直すきっかけになります。

 

経営に関係ない本でも、そのきっかけは得られます。馬券を偽造することをずっと続けた人の物語『馬券偽造師』はかなり刺激的でした。ノンフィクションで、自分の想像を遥かに上回るような物語に出会えると面白いですよね。

ただこういう類いの本は、本として面白いというよりも「人」が面白いという感じなので、人にはなかなか薦められません(笑)。

様々な本を読めば読むほど、「人」の心の在り方や「人」の弱いところ・強いところなどが見えてきます。そしてそれがないと、「面白い」を探求することができません。

 

「面白い」を生み出すのは「面白がる人」。「面白がる」ためには、「面白くない」をわかる必要がある。だからこそ、本を基点にした “分からない”で価値観を変えながら、私たちは「面白がる人」であり続けていこうと思っています。

 

※インタビューをもとに作成
インタビュー:青木郷師、文章:高井涼史

Book List

『鎌倉資本主義』 柳澤 大輔 (著) プレジデント社

『エンデの遺言 ―根源からお金を問うこと』 河邑 厚徳 (著), グループ現代 (著) 講談社

『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』 新井 紀子 (著) 東洋経済新報社

『馬券偽造師』 中山 兼治 (著) 幻冬舎

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